青森グッズ > あん玉

 関東などにも「あん玉」という名前の駄菓子がありますが、それとは全く別のものです。
 駄菓子という扱いではありますが、青森のあん玉は「上生菓子」のクオリティーです。
 下の写真は、夏に帰省した時、アウガ(駅前付近にあるビル)の地下市場でなぜか発見したものです。



●あん玉の概要
 青森の「あん玉」は、冬期(11月〜2月ぐらいまで?)に駄菓子屋に並ぶお菓子で、「くじ」です。
 写真の左端(箱の下段)にただの黒いあん玉が見えますが、これが「くじ」になっています。好きなあん玉を取って割り、中に色のついた餡が入っているものが当り。色によって一等、ニ等と決まっています。写真のような大きな色の派手なものが景品です。中に色の餡が無いものははずれ。ですが、はずれ自体のあん玉は食べることができますから、そんなに損はないのです。むしろ、一等ニ等の大きいのが当たると、嬉しいものの、食べ切れなくて困るのでした。

 あん玉は、写真のような印刷のないボール紙の紙箱に入っており、下段にくじのあん玉、上に景品のあん玉が乗っているのが一般的です。店先ではセロハンや薄い紙で覆ってあります。正直、衛生的にはちょいと問題ありそうですが(素手で掴むし)、まあ駄菓子ってそういうものですよね。
 長期間放っておいて乾燥しないのかというと、あん玉は表面を寒天で覆ってあるので、そうそうカピカピにはなりません。また、雪国の冬は湿度が高く、もちろん低温なので、その点も保存に関係あるでしょう。雪国ならではのお菓子だと思います。

 私が子供の頃は、駄菓子屋さんで1回10円でした。また、お正月に親戚が集まる時、問屋で丸ごと購入することもありました。
 写真では1580円が1350円となっていますが、この値段は観光客用のものなので、若干高いのではないかと思います。
 この写真は夏に撮ったもので…本来、あん玉は冬のもの。観光客用に製造したものでしょう。当然ながら、あっという間に腐るはずです。

●あん玉、その造型の謎
 ところで、上の写真のものは確かにあん玉ではありますが、私が子供のころ食べていたものほど良い出来とは思えません。同じ市内出身の友達に見せて確認しましたが、同意見でした。
 私達が食べていたあん玉は、造型の出来がもっと良かったのです。鯛や海老、松竹梅、花を模したものが主流でした。
その友達と私は市内ですが少し離れたところに住んでいました。あん玉の話を聞くと、まったく同一のあん玉ではないようでしたが、造型の良さについては意見が一致しました。

 07年夏に、友達と共に市場の問屋さんに行き、昔のものはもっと細かい出来ではなかったか、一体どこで作られていたのかと聞いてみました。
 すると、あん玉はそもそも1つか2つの会社がどっと製造しているものではなく、個人のお菓子屋さん(和菓子屋さん?)が冬だけ作っていたものらしいのです。その為、あん玉には無数の種類があり、そしてもう廃業してしまったお店が数多い、ということなのでした。
 私達はそれを聞いて激しく納得。個人のお菓子屋さんであれば、卸す地域が狭いので、隣町に行っただけで別のあん玉を目にしますし、造型の細かさも和菓子屋であれば合点がいきます。
 景品のあん玉などは、きっと木型に餡を詰めて作ったと思うのですが、造型の良い「型」はどこか廃業したお店で眠っているか、廃棄されてしまったのではないでしょうか。


 ところで、隣の弘前市には「生大王」というのがあり、よく似ています。違うのは、黒い餡ではなくて白い餡(練りきり?)で出来ている点と、「くじ」が紙だという点です。
 『いとおかし』様に「生大王」の記事・写真があります。(『いとおかし』様には、全国の死ぬ程かわいい郷土菓子の情報がたくさん載っていて、必見です!) それから『まるごと青森』様も参照。すばらしいモールド具合。 (これを製造されている佐藤製菓さんもあん玉を製造されていますが、なぜか生大王はあんなに精巧なのに、あん玉はイマイチ。。)
 私たちの記憶するあん玉は、「生大王」に迫る造型クオリティーでした。これを見ると、上の写真の物のランクがわかっていただけると思います。
 ネット検索すると、こういうのもあるようなのですが、…だいぶ違う…。地域(作るお店)によって違いが大きいという証拠でしょう。あん玉は1種類や2種類で語れるものではない、という結論です。


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