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子供の頃、母と一緒に見たNHKの単発テレビドラマで、とても印象的だった『匂いガラス』。この言葉の魅力的な響きが長い事頭の片隅に残っていました。このページはネット検索でわかったことをまとめておいたものです。なんだか案外需要があるらしい(?)ので残しておきました。
海に行くと「海ガラス」というか、砂で擦れて擦ガラスになった破片がよくありますが、あれを拾う度にこすってみたものです。
■『匂いガラス』 (TVドラマ)
『匂いガラス』1986年11月8日放映、NHK「ドラマスペシャル」の1作。
原作&脚本/唐十郎、演出/三枝健起、製作/高橋康夫。
主演/仙道敦子、大鶴義丹(デビュー作?)。鈴木保奈美(デビュー作)、小林麻美、石橋蓮司、金守珍、松坂隆子。
主題歌は中島みゆきで同名の『匂いガラス』(アルバム『おとぎばなし─Fairy Ring─』に、同ドラマシリーズだった『安寿子の靴』の主題歌『安寿子の靴』とのメドレーとして収録)。
唐十郎&三枝健起のNHK作品は他に『安寿子の靴(やすこのくつ)』『雨月の使者』『緑の果て』『青春牡丹燈篭』『源氏物語「あさきゆめみし」』など。
・ストーリー
ストーリーは童話『雪の女王』をモチーフにしているそうです。テレビドラマデータベース様によると「アパートの下の地中から見つかった「匂いガラス」の匂いをかいだ少女との不思議な人間関係を描く。ブラームスの弦楽六重奏曲が印象的」。
私の記憶では(放送時私はまだ8才だったので、あいまいな記憶です)、バレリーナ(か舞台女優)だった母親(亡くなったか行方不明)の思い出を辿る主人公の少女。匂いガラスを母親が集めていたと思うんですが...それで主人公も同じ匂いのするガラスを集めます。匂いガラスには酸っぱい匂いや甘い匂いなど様々あり、新しいものが見つかる度にこすってみて、「すっぱい匂い...」など感想を言っていました。特定の匂いのするものを探している感じでした。ラストではどこかの埠頭沖に戦闘機が丸ごと沈んでいるのを見つけ、潜って取りに行こうとするシーンを覚えています。大鶴義丹はボクサー少年(青年)の役だったように思います。
原作かどうかわかりませんが、同名の短編が『紙女房(桜閣興信所通信)』(1986年文芸春秋刊/著者:唐十郎/定価:1200円)に収録されています。既に廃刊しています(参照:ぱらぶら屋書店様)。
ネットは凄いもので、画像を公開しておられるサイト様を発見。齋藤秘密研究所様。「少年ドラマシリーズ」に通じるものがあるとの御感想...たしかにこないだ『アーカイブス』で観た『夢の島少女』(少年ドラマじゃないけど)みたいな幻想的なイメージでした。
撮影場所は大阪市内の他、岡山県犬島など。発電所跡にてバレエを踊るシーンがあったらしいです(参照:犬島の風景 精錬所跡様)。犬島は絵画や映画作品に多数登場する場所です。
あと、3,4年前(1999年〜2000年あたり)にBSで再放送をしたらしいです。フィルムは残っているようです。
■「匂いガラス」とは
「匂いガラス」とは戦闘機の風防ガラスで、フレキシブルガラス又は有機ガラスと言いました。今で言うアクリル(樹脂)で、ガラスではありません。当時は現在のものより質が悪く、不純物が混じっている為に、布で擦ると特に甘い匂いがするのだそうです(と聞いた...)。創作ではなく実際に存在する物です(参照:昭和懐画3本立様。他に松本零士の『戦場まんがシリーズ(ザ・コクピット)』に「アクリルの棺」という話があります)。戦闘機は、特に軽量化技術の進んでいたアメリカなどの戦闘機ではないかと思います。戦闘で墜落し、破片となったものを子供達が拾って「ニオイガラス」と呼び、宝物にしていたそうです。ドラマの中でか、後で他の何かで聞いたかわからないのですが、「パイナップルの匂い」と言っていたのを覚えています。
■『匂ひガラス』(舞台)
『匂ひガラス』という舞台劇が唐十郎の劇団「唐組」にて公開されています。1994年6月。詳しくはわかりませんが、イメージはかなり違う模様です(参照:演劇◎定点カメラ様)。舞台作品についてはこちらの本に載っているようです『唐十郎ギャラクシー』。
(2002.9)
TBSのラジオ番組『伊集院光の日曜日の秘密基地』の『秘密キッチの穴』コーナーでニオイガラスの話がでてきました(2004年の冬だったと思います)。すでに解決しているのですが、解決の詳細がまだHPに反映されていないようです。「フーボガラス(風防ガラス)」と言っていた等、いろいろな情報が寄せられていました。
(2005.3 追記)
上記『秘密キッチの穴』が反映されていました。No.00421「匂いが出るガラス」。
(2006.7 追記)
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